こんにちは、EVILがG1でいいところにいくと発作的に記事を書く私です。
起きました、発作が。発作的に。発作マグナがすごかったので書きます。
※過去
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EVILという選手の強さ、これを疑う人は、新日本プロレスを通常ペースで見ている人なら、あまりいない。
なぜなら、実績もすごい。「※」付きだとしても。
IWGPタイトルマッチはもちろん、G1でも多くの選手を撃破してきている。「※」付きだとしても。
どんなにヒールのステレオタイプな試合ばかり普段していても、知られている。
ミラノコレクションATことミラノさんがずっと諦められないのも、
子どもたちからなぜか圧倒的な支持を集めているのも、
簡単な話だ、EVILは強いんだ。いまの新日本プロレスで数少ない勝利至上主義者だ。
ここから考える意見は、完全に私の主観なので、事実に反する表現も多い。
嫌な気持ちになる人は引き返してほしい。
何が言いたいかというと、
EVILというのは、新日本プロレスにおける「強さの象徴」なのだ。とさえ思う。
そして、新日本プロレス、少なくとも棚橋弘至から
「最も信頼されているプロレスラー」だと考えている。
プロレスラーの中の、プロレスラーだ。
EVILがEVILになる前の話は、関係ないことだ。彼は米・中西部の藻屑になったから。
だから、EVILが帰ってきてからのことを思い出しながら、
彼がどれだけ新日本プロレスから信頼されているかを伝えたい。
まず、内藤哲也のもとに帰ってきたことだ。
もっと簡単なドチャクソヒールや、暴れまわるだけの存在にもなれただろう。
でも、ロス・インゴベルナブレス化して、とにかくまだ「早く入場せい」と思われ
まだまだ支持なんてずっと先の内藤のもとに合流した。
これは、簡単なことじゃない。米国長期遠征から帰ってきたら、
本当は誰だってキラキラスターダムを用意されたところで、輝きたい。
オカダ・カズチカみたいに。でも違った。
2年だぞ?2年。2年もアメリカの、TNAでもROHでもないところで。頑張った。
いまほど海外インディーの話題が多く出る時代でもなかった。
それでも存在感をちゃんと示した。彼は本物になって帰ってきたんだ。
以後の活躍は、オカダ・カズチカを中心とした、メインイベントキラーだった。
誰も勝てないオカダ勝って、誰も文句を言わない選手になった。
仮にシングルタイトルがなくたって、「やっぱEVILのEVILだよな」と。
でもやっぱりあとから入ってきた高橋ヒロム、SANADA、鷹木信悟の存在感はすごかった。
少しずつ役割は減っていっていた時期だと思う。タッグではもちろんすごかったが。
そんな中、コロナ禍が起きて、
世界はどんなプロレスなら受け入れてもらえるのか、誰もわからない。
そこで時代が選んだのはEVILだった。まさか、ウソだろ!?
みんなが思ったと思う。NEW JAPAN CUP決勝でオカダを破って初制覇。
ロス・インゴベルナブレス・デ・ハポンを離脱し、
大阪城ホールのメインで内藤哲也を破り、二冠王者に君臨。
オカダじゃなくて、内藤じゃなくて、EVILだった。
正直、自分のプロレス観戦史の中でも屈指の、予想できない流れだった。
でも、EVILはやりとげた。
イベントをやるだけであらゆる批判があり、正しいことをしても指を刺される。
そんな時代に、誰もプロレスの主役なんてなりたくないだろう。
その先で、オカダ・カズチカだって涙した、棚橋弘至だって涙したくらいの時代だ。
でも、そこで先頭に立ち、矢面に立ったのは、誰もがブーイングできる大ヒールだった。
何がすごいって、この年のEVILは正真正銘メインイベンターだった。
7月11日大阪城ホール『NEW JAPAN CUP 2020』決勝戦
7月12日大阪城ホールIWGPヘビー&同インターコンチネンタルの二冠戦
7月25日愛知県体育館二冠王座戦
8月29日明治神宮球場二冠王座戦
11月7日大阪府立体育会館二冠王座戦
考えられないほど、会社から信頼されているとしか、考えられない。
翌年はあの西武ドームでも鷹木信悟のIWGP世界ヘビーに挑んでいる。
西武ドームのメインだぞ?
以後はHOUSE OF TORTUREという新しい家族を経て、
「BULLET CLUB」がどこにいて、誰のものかわからない時代を
HOTという存在で支えてくれていたと思う。
UNITED EMPIREも大声援、BULLET CLUB WAR DOGSにも大声援のいま
勧善懲悪が成り立ったのは、HOTがいてくれるからだ。
AEWがいても、新日本プロレスのアイデンティティを守ったのは、HOTとも言える。
実際、これだけ長くやってくれたから、なんでかしらないが(すっとぼけ)
いまやHOTは若者、女性、子どもから多く指示されるスーパーヒールになった。
かつて、米国の藻屑になった青年が憧れた、蝶野正洋の「T-2000」のように。
話を戻そう。
8.17 有明アリーナ G1 CLIMAX優勝決定戦。
恐らく85%くらいの人がカードを見て、「竹下が優勝か」と思ったんじゃないだろうか。
私もそう思った。
実は、G1CLIMAXで、過去一度も「超バッドエンド」は起きていないからだ。
ケニー・オメガが優勝したときも、ザック・セイバーJr.が優勝したときも
誰もバッドエンドだとは考えていなかっただろう。
ちなみに、BEST OF THE SUPER Jr.でもあまり起きていなかったのだが、
プリンス・デヴィットがその前例を覆してしまったので、G1だけのことと考える。
ただ、もう1つだけ近い例がある。小島聡の優勝だ。小島は久しぶりの参戦で優勝した。
小島聡は、元々新日本プロレスの出身だし、全日本プロレスでは基本スーパーベビー、
なんなら決勝で向かい合った棚橋弘至は、ウルトラスーパーベビーだったのに、
まだブーイングの起こるタイプだった。当時の棚橋はすでにそれを克服し、
ナルシストキャラ全開で新しいベビー像を作っていたが、
小島の優勝にちゃんと会場は納得した。だからこれもバッドエンドじゃない。
今回の竹下の優勝は、もう98%くらいこのケースに近いと思う。
とにかくこの年の小島聡は強くて、強くて。仕方がなかった。
だから、東京ドームで棚橋が勝った時、この団体の方向性は一つになった。
もう一度、これをやるチャンスが巡ってきたんだと、そう考えるとバッドエンドじゃない。
新世代から本当のエースを生み出す、最大にしてたった一度きりの機会を生み出した。
正直、いま誰の団体かすぐわかるなって、すごく思った。
また、話がそれた。
少なくとも「満場一致でEVIL初優勝やな」と思っていたのは、
EVILとHOT党の皆さんだけかと思う。だけと言っても、当日は相当会場にいたと思うけどね。
だから、私を含むどれくらいかのファンの皆さんは、「覚悟した」はずだ。
竹下幸之介が、たった新日本参戦2年目でG1を獲ってしまうことに。
その心、うらはらに、思ったはずだ。
「EVILが完全決着モードで竹下を倒してくれないかな」って。
EVILにはその力がある。オカダ・カズチカを倒しているんだぞ。
オカダは世界一のプロレスラーだ。
オカダ・カズチカを倒していない竹下幸之介に、本気のEVILが負けるわけない!
そんなことを思っていても、別に不思議はないんだ。
ミラノさんも、会場のファンも、それだけEVILを信頼しているから。
試合は、そりゃあすごいEVILが見れた。
まだ見ていない人もいるだろうから、多くは語らない。
新日本プロレスワールドでも、ワールドプロレスリングでもいいから、試合を見てほしい。
誰がどう考えたって竹下が勝つ。その中で15%くらいだった「EVIL勝て…」の思いを
試合を通して、どんどん増やしていく。30%になり、45%になり、
金的をしたっていうのに、ファンは「やった!よし!」と感じる歓声を上げた。
そして完全な流れで、ついに放たれる「EVILのEVIL」。
その瞬間、私の中で涙が出そうなくらいのことが起きた。
「イーーーー!!!!」
会場が一つになって叫んだのだ。EVILのEVILを。叫びたかったのだ。EVILのEVILを。
あれは、ミラノコレクションATさんの声がでかすぎてそう聞こえたんじゃない、
間違いなく、会場の多くの人が思わず叫んでいたのだ。「イーーーー!!!!」と。
結果は、正直どうでもいい。ここまで読んでくれた人は、
「竹下が勝つだろう」と思っていたことを察してくれるだろうから、
やはり竹下が勝ったことにそれほどの驚きも感動もなかったから。
竹下幸之介は、いま新日本プロレスにいる選手の中で、世界一強い。
それは紛れもない事実だ。新日本世界一。おめでとう。夢は叶う。
でも、試合が終わった瞬間に心に湧き上がる想いは、
「なんでEVILじゃだめなんだ…!!!」だった。
別に「新日本プロレスの選手じゃないのに!」とかそういうのはない。
とっくにない。オカダ・カズチカも、ケニーも飯伏もすごい。超すごいから。
でも、新日本プロレスが野毛道場から育て上げた、最高傑作と言っていい、
そのEVILがこれだけプロレス界に尽くしていても、まだダメなのか、と思った。
悔しい。EVILが優勝するまで死ねない。G1優勝してくれ。
蝶野正洋みたいになって、TVにも出まくって、
もっとすごいスーパーヒールになってくれって思った人はいると思う。
あと、「あの強い強い竹下幸之介とやっても、やっぱりEVILは強いんだ!」と
その事実にうれしくなったことも、やっぱり事実だと思う。
残念なことに、またしてもEVILは優勝できなかった。
新日本プロレスは新世代から優勝者を出せなかった。
新しいエースは決まらなかった。東京ドームまで決まらないだろう。
でもプロレスは続いていくから。この思いがプロレスを続けていくから。
EVILは、いまや倖田來未さんをも熱狂的なファンにしてしまうほど、
かなり魅力的な、強さと、言葉や行動と、すごい顔芸と、
竹下幸之介のアホみたいに攻めるプロレスにも負けない受け身と、
そして世間一般が考えるステレオタイプなヒール像を、全部やって見せている。
これは、これだけネット社会になって、プロレスがたくさんばかにされて、
ファンもいっぱい悔しい思いをした時代を経て、とんでもないことだと思う。
でも、できるのはそれはEVILだから。
新日本プロレスから最も信頼されているプロレスラーだから。
平成後期野毛道場が生み出した最高傑作だから。
正確に言うと、それは棚橋弘至が新日本プロレスの道場に入り浸り
新日本プロレスの育成に大きく関わり始めて以降、だと考える。
だから、私のEVIL評は、主観2000%でいうと
「棚橋弘至が生み出した最高傑作であり、最も信頼するプロレスラー」だと言うこと。
あの棚橋弘至が、引退する。
その期間に、たった2度しかない東京ドーム大会でのシングルマッチに、
棚橋弘至はEVILを選んだ。
G1 CLIMAXの歴史を閉じる最後の相手にも
棚橋弘至はEVILを選んだ。
でもたぶん、引退試合はEVILではないだろう。
だけど、まあこれはもう完全な予想をするならば、
恐らく1.4東京ドームのEVILの相手は
「ウルフアロンデビュー戦」じゃないかと思う。
なぜならEVILは、棚橋弘至が、新日本プロレスが最も信頼するプロレスラーだからだ。
TVの向こうに、プロレスのすごさ、怖さ、強さを伝えて、
ウルフアロンを最も輝かせてデビューさせる存在は、EVILをおいて他にいないから。
(あと、ふたりとも柔道出身だからね)
(ウルフの逆EVILを想像して震えながら)
とにかく、この夏で一番幸せな時間、正確に言うと「瞬間」は、
タイトルにある、多くの人々がEVILを“信頼した”シーンだったから。
あの日聞いた有明アリーナ大観衆の「イーーーー!!!!(EVILのEVIL前)」を僕達はまだ忘れない。
